「600万円、繰り上げ返済に使うべきか、預金のまま置いておくべきか」——政策金利が1%になった今、変動金利のローンを持っている僕が出した答えを、実際の数字と一緒にまとめました。
前の記事(政策金利1%時代の銀行預金比較)で「繰り上げ返済を優先する」と書きました。その理由と計算の中身を、今回すべて公開します。
結論から言います。
✅ 結論(むすの場合)
600万円を住宅ローンの繰り上げ返済(返済額軽減型)に充てることにしました。
浮いた月々の差額(約2.8〜3.4万円)はNISAのオルカンに積み立てていきます。
- 利息節約額:▲192万円(繰り上げなしと比較)
- 月々の返済額:91,370円 → 62,912円(初月比較)
- 浮いた差額をNISAで23年運用すると:約1,542万円〜2,068万円(年利5〜7%試算)
わが家のローン状況(前提の数字)
まず現在のローンの状況です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 残債 | 19,264,373円(約1,926万円) |
| 返済方式 | 元金均等返済 |
| 現在の金利 | 1.125%(7月から1.375%に変更予定) |
| 残期間 | 23年2ヶ月(令和31年9月完済予定) |
変動金利ローンでよく聞く「5年ルール(金利が上がっても5年間は返済額が変わらない)」や「125%ルール(返済額の上限を旧額の1.25倍に抑える)」は、元利均等返済のみに適用されるルールです。
僕のローンは元金均等返済のため、これらのルールは適用されません。金利上昇はそのまま毎月の返済額に反映されます。メリットは「未払利息が発生しないこと」。デメリットは「金利上昇の影響をダイレクトに受けること」です。
金利をどう見積もったか(ストレス試算)
将来の金利は誰にも分かりません。だから「少し厳しめの仮定」で計算しました。
📌 ストレス試算の前提
- 7月から1.375%スタート
- その後、半年ごとに0.250%ずつ上昇
- 上限を3.0%に設定
※2026年6月時点の主流見通しでは政策金利の上限は1.5%前後とされています。3%は「かなり重め」の仮定です。それでも繰り上げ返済が有利という結論になりました。
この前提で計算すると、繰り上げなしの場合の利息総額は約616万円になります。
軽減型vs短縮型、どちらが得か
繰り上げ返済には2種類あります。
- 返済額軽減型:完済時期は変わらず、毎月の返済額が下がる
- 期間短縮型:毎月の返済額は変わらず、完済時期が早まる
600万円を繰り上げた場合の比較です。
| パターン | 利息総額 | 削減額 | 完済時期 |
|---|---|---|---|
| 繰り上げなし | 約616万円 | — | 令和31年9月 |
| 返済額軽減型 | 約424万円 | ▲192万円 | 令和31年9月(変わらず) |
| 期間短縮型 | 約281万円 | ▲335万円 | 令和24年7月(7年2ヶ月早まる) |
利息削減額だけ見ると、期間短縮型の方が143万円お得です。では、なぜ軽減型を選んだのでしょうか。それは月々の返済額の変化を見ていただきたいからです。
| 時期 | 繰り上げなし | 軽減型 | 短縮型 |
|---|---|---|---|
| 初月(7月) | 91,370円 | 62,912円 | 84,495円 |
| 3年後 | 109,474円 | 75,378円 | 95,099円 |
| 5年後 | 107,062円 | 73,717円 | 92,063円 |
| 10年後 | 104,652円 | 66,560円 | 完済まで継続 |
軽減型と短縮型の月々の差は、初月で約2.2万円。これが毎月ずっと続きます。この差額をNISAに回せば、話は変わってきます。
軽減型+NISAで考えると
軽減型を選んだ場合、繰り上げなしと比べて月に約2.8〜3.4万円返済額が浮きます。この差額をNISA(オルカン)に積み立て続けたらどうなるか試算しました。
📊 軽減型+NISA運用シミュレーション(23年間)
※投資には元本割れのリスクがあります。上記はあくまでシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではありません。
期間短縮型を選んだ場合の利息削減額は約334万円。軽減型+NISAの運用益は年利5%でも750万円(運用益のみ)。
数字の上では、軽減型+NISAに軍配が上がります。
手元資金1,090万円の使い道
今回の判断の元になった手元資金の全体像です。保険の満期金と預金を合わせて約1,090万円をどう配分するか、家族で話し合って決めました。
| 配分 | 金額 | 用途 |
|---|---|---|
| ① | 600万円 | 住宅ローン繰り上げ返済(軽減型) |
| ② | 約290万円 | 生活防衛資金として手元に残す(農業転換への備え) |
| ③ | 約70万円 | NISA一括投資(娘の学費用・7年運用) |
②の「農業転換への備え」については、将来的に今の仕事から農業へ転換することを視野に入れているため、収入が下がる時期に備えて手厚めに手元に残しています。
年金保険を解約してNISAに移した理由
③の70万円の出どころは、加入していた年金保険を解約して得た解約返戻金です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 予定利率 | 当初5年0.90%→6年目以降最低保証0.75% |
| 払込済み掛金 | 約69万円 |
| 解約返戻金 | 約69.5〜74.7万円 |
| 65歳時最低保証額 | 186万5,774円 |
| 65歳時年金額 | 年19万1,832円 |
判断の軸はシンプルで、「追加でさらに約106万円払い続けても、65歳時点で増えるのは実質十数万円程度」という計算になりました。
一方、解約返戻金の約70万円をNISAで23年運用した場合のシミュレーションはこうなります。
📊 70万円をNISAで23年運用した場合
- 年利5%:約215万円
- 年利7%:約332万円
※投資には元本割れのリスクがあります。
ただし、これはあくまで「僕の保険の場合」の判断です。保険の解約を検討するときは、以下の点を必ず確認してください。
- 元本割れしていないかを確認する(解約時期によっては払込額を下回る場合があります)
- 予定利率3%超の「お宝保険」は解約厳禁(バブル期の保険は今の利率とは別物です)
- 解約の前に「払済(はらいずみ)保険」という選択肢も検討する(以後の保険料を払わず、保障額を下げて継続する方法)
なぜ期間短縮型より軽減型を選んだか
数字だけ見れば短縮型の方が142万円お得です。それでも軽減型を選んだ理由は3つあります。
💡 軽減型を選んだ3つの理由
① 月々の固定費を下げたかったから
将来的に農業へ転換することを考えると、収入が下がる時期に月9万円超の返済が続くのはリスクです。6万円台に下げることで、家計の圧迫感が変わります。
② NISAに回せば利息の差は取り戻せる
短縮型との利息差は約143万円。軽減型で浮いた差額をNISAに積み立てた場合の運用益(年利5%・23年)は約751万円。数字の上ではNISAの方が大きくなります。
③ 精神的な余裕が生まれる
月2.8万円の差は、数字以上に生活感が変わります。「毎月の支出が確実に減っている」という安心感は、長い返済期間を乗り越えるためにも大事だと感じています。
「短縮型の方が合理的」という考え方は正しいです。ただ、合理性だけがローンの返し方の正解ではないと思っています。自分の将来の見通しや、毎月の家計の余裕感も含めて判断することが、40代のローン戦略だと感じています。
📌 次の記事への伏線
「浮いた月3万円、NISAで何を買えばいい?」
毎月積み立てるなら「オルカン」か「S&P500」か。40代から始める場合の考え方、農業転換という出口を見据えた運用期間の設計、実際に毎月2万円を何年積み立てたらどうなるのかを実数で解説します。
→ 次回:「オルカンvsS&P500、40代から始めるNISAの選び方」
まとめ
✅ この記事のポイント
- 変動金利1%時代、預金金利(0.4〜0.8%)よりローン金利の方が高いため繰り上げ返済が有利
- 600万円を繰り上げると利息を約192万円(軽減型)〜334万円(短縮型)削減できる
- 月々の返済額を下げたい・NISAと組み合わせたいなら軽減型、利息削減を最優先にするなら短縮型
- 僕は軽減型+NISAを選択。浮いた月3万円前後をオルカンに積み立てていく予定です
- 元金均等返済は「5年ルール・125%ルール」の適用外。金利上昇は毎月の返済額に即反映される
- 年金保険の解約はケースバイケース。お宝保険(予定利率3%超)は解約しないこと
「繰り上げ返済か預金か」に正解はなく、ローン金利・預金金利・家計の余裕・将来の見通しを合わせて考えるものだと感じています。この記事が、同じように悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。
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※本記事の試算は2026年6月時点の金利・情報をもとにしています。実際のローン返済額・利息総額は金融機関・契約内容により異なります。繰り上げ返済の判断は必ず金融機関にご確認ください。
※投資には元本割れのリスクがあります。本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。


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