食料品の消費税が1%になる、というニュースが流れました。
「へえ、安くなるんだ」とは思ったものの、正直いちばん知りたいのは「で、うちはいくら安くなるの?」だと思うんです。僕もそうでした。
調べてみたら、単純に7%引きになるわけではありませんでした。そして「実質ゼロ」という言葉にも、ちょっとした注意点がありました。
この記事では、我が家の食費から自分で計算する方法と、ニュースだけでは分かりにくい部分を、専門用語なしで整理します。
まず、何が決まったのか
2026年8月5日の臨時閣議で、政府が次の方針を決定しました。
- 飲食料品の消費税を8%から1%に引き下げる
- 2027年4月から、2年間の期間限定
- 実現すれば、1989年に消費税が導入されて以来はじめての引き下げ
ただし、まだ法律にはなっていません
ここは正確に押さえておきたいところです。
8月5日に決まったのは「政府としてこうします」という方針であって、法律そのものはまだ成立していません。今後のスケジュールはこうなっています。
- 9月:税制改正大綱で詳しい中身を決定
- 秋の臨時国会:関連法案を提出、成立を目指す
つまり、細かい条件はこれから詰まっていく段階。ニュースで見た内容が最終形とは限らない、と思っておくくらいがちょうどいいと思います。
うちはいくら安くなる? 計算してみた
ここからが本題です。
まず、しくみをシンプルに見てみます
いちばん分かりやすいのは、値札の「本体価格」で考えることです。
本体価格が10万円ぶんの食品を買ったとして、払う消費税を比べてみます。
| 消費税 | レジで払う額 | |
|---|---|---|
| 今(8%) | 8,000円 | 108,000円 |
| 減税後(1%) | 1,000円 | 101,000円 |
消費税が8,000円から1,000円になるので、浮くのは7,000円。本体価格に対して、ちょうど7%ぶんです。
ここまではシンプルですね。
落とし穴①:家計簿の「食費」で計算すると多めに出ます
ところが、実際に自分で計算しようとすると、ちょっとしたズレが起きます。
というのも、さきほどの10万円は「本体価格」でしたが、家計簿やレシートに記録されているのは「税込」の金額だからです。
家計簿に「食費10万円」と書いてあるとき、その10万円の中にはすでに消費税が含まれています。同じ10万円でも、中身が違うんですね。
税込10万円の場合、内訳はこうなります。
- 本体価格:約92,593円
- 消費税(8%):約7,407円
- 合計:100,000円
この消費税が1%に下がると、税額は約926円。つまり、
浮くのは 月 約6,481円 → 年間で約7.8万円
ここで税込の100,000円をそのまま7%引きすると7,000円になりますが、実際は約6,481円。月520円ほど多く見積もってしまう計算になります。1年だと約6,200円のズレです。
なので、家計簿の食費から計算するときは、「毎月の食品代(税込)× 約6.5%」と覚えておくと実際に近い数字が出ます。
金額別の早見表
| 毎月の食品代(税込) | 月に浮く金額 | 年間で浮く金額 |
|---|---|---|
| 5万円 | 約3,241円 | 約3.9万円 |
| 6万円 | 約3,889円 | 約4.7万円 |
| 8万円 | 約5,185円 | 約6.2万円 |
| 10万円 | 約6,481円 | 約7.8万円 |
落とし穴②:外食とお酒は対象外です
そしてもう一つ、計算する前に確認しておきたいことがあります。
今回下がるのは「飲食料品」の8%です。でも、今の消費税には8%と10%の2種類があって、外食とお酒はもともと10%なんですね。だから今回の引き下げの対象には入りません。
◎ 対象になるもの
スーパー・コンビニなどで買う食品・飲み物、お弁当やお惣菜の持ち帰り
× 対象にならないもの
レストランなどでの外食、ビール・ワインなどの酒類
家計簿の「食費」に外食代が入っている方は多いと思います。計算に使うのは、外食とお酒を除いた「スーパーなどで買う食品代」です。ここを混ぜると、期待した金額と実際がズレてしまいます。
正直に書くと、僕はあまり恩恵を受けられないかもしれません
ここ、我が家にとってはけっこう痛いところです。
というのも、僕は出張が多くて昼食が外食になりがちですし、ビールや日本酒をほぼ毎日飲みます。どちらも今回の減税とは無関係で、10%のままなんですよね。
つまり我が家の場合、家計簿の「食費」のうちそこそこの割合が対象外ということになります。
仮に、こんな家庭で考えてみます。
月の食費が合計10万円の場合(例)
- 外食(昼食・飲み会など):3万円 → 対象外
- お酒:1万円 → 対象外
- スーパーなどで買う食品:6万円 → ここだけが対象
この場合、減税の効果が及ぶのは6万円ぶんだけ。浮くのは 6万円 × 約6.5% = 約3,900円 です。
「食費10万円」でまるごと計算すると約6,481円でしたから、2,500円以上の差が出ます。年間だと3万円以上の違いです。
外食や晩酌が多い家庭ほど、この差は大きくなります。「食費が多い=恩恵が大きい」とは限らないのが、この制度の分かりにくいところだと思います。
まずは1か月分だけ、仕分けてみる
とはいえ、外食代とお酒代を正確に把握している人は少ないですよね。僕もどんぶり勘定でした。
おすすめは、1か月分のレシートを「スーパー」「外食」「お酒」の3つに分けてみることです。1か月やれば、だいたいの比率は見えてきます。
家計簿アプリで食費と外食費をすでに分けている方は、その数字がそのまま使えます。
この仕分け、減税の計算のためだけでなく、単純に家計の把握として役に立ちます。僕の場合、たぶん外食とお酒の割合を見て軽くショックを受けることになりそうですが……そこは目をつぶらずに見ておこうと思います。
なぜ0%ではなく、1%なのか
「どうせ下げるなら0%にしてよ」と思った方、多いんじゃないでしょうか。
報道によると、理由はレジのシステム改修にかかる時間だそうです。税率をゼロにするとPOSレジの改修に約1年かかるのに対し、1%なら5〜6か月で対応できる。だから2027年4月に間に合わせるために1%にした、という説明です。
ちょっと拍子抜けするような理由ですが、全国のお店のレジを一斉に変える話だと考えると、現実的な判断なのかもしれません。
「実質ゼロ」の本当の意味
ニュースで「実質ゼロになる」という言葉を見た方もいると思います。ここは誤解しやすいところなので、丁寧に整理します。
全員の食品が0%になる、という意味ではありません。
政府の説明では、残る1%分に相当する額を中低所得の世帯への現金給付で埋め合わせることで、その層にとっては負担が実質ゼロになる、という設計です。
さらに、総理の会見では次のような段階が示されています。
- 2027年4月〜2029年3月:税率1%(つなぎの措置)
- 2029年4月〜(予定):「所得に連動したきめ細かな給付」を開始。対象は中所得・低所得の現役世代
つまり今回の減税は、その先にある新しい給付のしくみへの「つなぎ」として位置づけられているわけです。ここを知っておくと、2年で終わる理由も少し腑に落ちます。
気になる財源はどうなるの?
家計としてはありがたい話ですが、正直こう思いませんか。「その分のお金、どこから出てくるの?」
ここが今回いちばんの論点かもしれません。
年間およそ5兆円の減収
今回の措置による財政の負担は、給付分も含めて年間で約5兆円にのぼる見通しと報じられています。
そして消費税は、年金・医療・介護・子育てといった社会保障を支える財源として法律で位置づけられているお金です。つまり減税の裏側で、社会保障の財布に穴が空くことになります。
政府の説明と、まだ決まっていないこと
総理は会見で「特例公債(いわゆる赤字国債)に頼らずに確保する」と強調しています。挙げられた方法はこちらです。
- 歳出・歳入の両面を見直す
- 租税特別措置や補助金を見直す
- 税外収入を掘り起こす(今年度で約9兆円程度)
- 補正予算に頼る体質から脱却する
ただし、具体的な金額は「予算編成のプロセスで示す」とされていて、現時点では固まっていません。
報道では、外国為替資金特別会計の剰余金や日銀からの納付金が候補として検討されているものの、外為特会の剰余金は防衛力の強化にも使う予定があり、社会保障の穴を全額埋めるのは難しいと指摘されています。
40代として、ここをどう見るか
僕はこう受け止めています。
短期的には家計にプラス。でも、財源が固まっていないことは覚えておきたい。
年5兆円の穴をどう埋めるかが決まらないまま進むと、将来的にどこかで負担が戻ってくる可能性はあります。社会保障は僕たちが年金や医療を受け取る側になったときに直結する話ですから、他人事ではありません。
「減税だ、やった」で終わらせず、9月の税制改正大綱で財源がどう示されるかまで見ておきたいところです。
2年で元に戻ることを、どう考えるか
今回の措置は2年間の期間限定です。2029年4月には税率が戻る予定になっています。
ここで気をつけたいのが、浮いたお金で生活水準を上げてしまうことです。
月に5,000円浮くと、つい「ちょっといいお肉にしようかな」「もう一品買おうかな」となります。でもそれが習慣になったまま2年後に税率が戻ると、元の生活費より支出が増えた状態で元の税率に戻ることになります。
対策としてよく言われるのは、浮いた分を最初から別口座や積立に回してしまう方法です。「無かったこと」にしてしまえば生活水準は上がりません。
もっとも、食費を削りに削ってきたご家庭なら、この2年で少し余裕を取り戻すという選び方もあると思います。正解はそれぞれです。
正直に言うと、僕自身はまだそこまで決めていません。というのも、その前に引っかかっていることがあるからです。
そもそも、本当に安くなるんでしょうか
ここまで「いくら浮くか」を計算してきましたが、正直こう思いませんか。
「税金が下がっても、お店が値段を下げてくれなかったら意味なくない?」
僕がいちばん引っかかっているのが、ここです。
お店に「値下げする義務」はありません
まず前提として、商品の値段をいくらにするかは、それぞれのお店が決めることです。消費税が下がったからといって、その分を必ず値札に反映しなければならない、というルールがあるわけではありません。
つまり理屈のうえでは、税率だけ下げて、本体価格をこっそり上げることも可能なんですね。そうなると、レジで払う金額はほとんど変わりません。
今は「値下げしにくい」タイミングでもある
意地悪をしたいからではなく、お店側にも事情があります。報道で挙げられている理由はこのあたりです。
- 原材料費・人件費・物流費が上がり続けている(減税分を値下げに回す余裕がない)
- 値札やレジシステムの変更に手間とコストがかかる
- 減税で生まれた余力を、これから予定していた値上げを見送るために使うという選択肢もある
特に3つ目は考えさせられます。本来なら値上げするはずだった商品が、減税分のおかげで据え置きになる。これはこれで消費者にとって悪い話ではないのですが、レジでの「安くなった実感」はゼロなんですよね。
この記事では9月の食品値上げが4,531品目にのぼる見込みだとお伝えしましたが、こういう流れが続いている中での減税だ、ということは頭に入れておきたいところです。
ヨーロッパでも同じことが起きていた
日本と同じように消費税(付加価値税)のしくみを持つヨーロッパでも、減税したのに価格が十分に下がらず、事業者の値上げで効果が打ち消されたという事例が報じられています。
日本でも同じことが起きない保証はありません。
じゃあ、どうやって確かめるか
ここで「どうせ下がらないよ」と諦めてしまうのはもったいないので、自分で確かめる方法を用意しておくのがいいと思います。
おすすめはレシートを取っておくことです。
レシートには、税率ごとの区分と本体価格が印字されています。減税前(2027年3月)と減税後(2027年4月)で、いつも買っている同じ商品のレシートを見比べると、本体価格が変わっていないかどうかが分かります。
- 本体価格が同じ → 減税分がちゃんと届いている
- 本体価格が上がっている → 減税分が値上げで相殺されている
牛乳、卵、食パンなど、毎週買うものを2〜3品決めておくだけで十分です。「ニュースではこう言ってたけど、うちの近所のスーパーは実際どうだったか」を、自分の目で確かめられます。
僕が浮いたお金の使い道をまだ決めていないのは、こういう理由です。本当に浮くのかどうか、まずは確かめてからでいいかなと思っています。
まとめ
- 2027年4月から2年間、飲食料品の消費税が8%→1%になる方針が決まった(法案の成立はこれから)
- 浮く金額の目安は「毎月の食品代(税込)× 約6.5%」
- 外食とお酒は対象外。外食や晩酌が多い家庭ほど恩恵は小さくなる
- 「実質ゼロ」は全員ではなく、中低所得世帯への給付を合わせた場合の話
- 年約5兆円の財源はまだ固まっていない。9月の税制改正大綱に注目
- お店に値下げの義務はない。減税分が本体価格の値上げで相殺される可能性もある
- 確かめるなら、減税前後のレシートを取っておいて同じ商品を見比べる
ニュースの見出しだけだと「安くなるらしい」で終わってしまいますが、自分の家計に当てはめて計算してみると、けっこう具体的な数字が見えてきます。
そして計算した金額が本当に手元に残るかどうかは、2027年4月にレジで確かめるしかありません。楽しみ半分、疑い半分で待とうと思っています。
※本記事は2026年8月18日時点の情報にもとづいています。制度の詳細は今後の税制改正大綱・法案審議で変わる可能性があります。最新の内容は財務省・国税庁の公式サイトでご確認ください。

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